定年後に再雇用され、労働日数や賃金が下がった直後に年次有給休暇を取得すると、
「有給の賃金は下がった後の給料で計算されるのでは?」
と不安になる方が少なくありません。
結論から言うと、再雇用直後であっても、年休取得時の賃金は原則として“定年前を含めた平均賃金”で計算します。
これは労働基準法の考え方および労基署実務に沿った整理です。
再雇用後の年休賃金はどう決まるのか?
年次有給休暇中の賃金は、労働基準法第39条第9項により、次のいずれかで支払います。
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平均賃金
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通常の賃金(就業規則等で定めた場合)
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標準報酬日額相当額(健康保険の制度)
多くの会社では、平均賃金を用いて支払われています。
平均賃金とは何か
平均賃金とは、簡単に言うと「直前の賃金実績を平均した1日あたりの賃金」です。
労働基準法第12条では、次のように定義されています。
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算定事由発生日(=年休取得日)以前
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直前3か月間の賃金総額
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その期間の総日数で割る
定年後再雇用は「新規雇入れ」になるのか?
ここが、実務で最も誤解されやすいポイントです。
定年後は形式上、
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定年退職
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再雇用契約の締結
という流れになりますが、年休賃金の計算では、原則として労働関係は継続していると考えます。
同一事業主のもとで、
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業務内容が大きく変わらない
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勤務が連続している
このような場合、平均賃金の算定において労働関係を分断して考えることはできません。
再雇用直後に有給を取った場合の計算イメージ
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年休取得日が再雇用直後であっても、平均賃金の算定期間は、定年前を含めた直前3か月
賃金が下がった「後」だけで計算するのは、平均賃金制度の趣旨に反します。
実務上の注意点
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再雇用=必ず新規雇入れとは限らない
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年休付与日数の通算と、平均賃金の考え方は別問題
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就業規則で「通常賃金払い」と定めている場合は結論が変わる可能性あり
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形式よりも実態(労働関係の連続性)が重視される
FAQ
Q1:賃金が下がったのだから、有給も下がるのでは?
A:そうとは限りません。年休賃金は平均賃金で計算されるため、定年前の賃金を含めるのが原則です。
Q2:再雇用日は雇入れ日として扱われませんか?
A:平均賃金の計算では、労働関係が実質的に継続しているかが判断基準になります。
Q3:会社が再雇用後の賃金だけで計算していました
A:誤りとなる可能性があります。実態確認が必要です。
チェックリスト
□ 年休賃金の支払方法が就業規則に明記されている
□ 平均賃金に定年前の賃金が含まれている
□ 同一事業主で勤務が継続している
□ 恣意的に算定期間を区切っていない
社労士へ相談を検討すべきケース
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再雇用直後の有給賃金が著しく低い
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「再雇用だから別計算」と説明された
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就業規則と実務が一致していない
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労基署対応に不安がある
自己判断で処理すると、後から修正が難しい分野です。
② 再雇用・退職関連の理解
▶定年を60⤴65歳に変更すると失業保険はどうなる?“同日得喪”と再雇用のルールを解説
③ 労働条件・実務基礎
📌 補足
上記の記事は、今回のテーマ(再雇用後の年休賃金と平均賃金の計算)とは直接のテーマは異なりますが、年次有給休暇という制度そのものの理解や、関連する実務ルールの落とし穴を補完する内容です。
