■ はじめに
企業の多くが「60歳定年 → 継続雇用制度」を採用していますが、近年は定年を65歳へ引き上げる企業も増えています。
しかし、ここで意外と知られていないのが、
定年を引き上げた場合、失業保険(同日得喪)が使えなくなることがある
という点です。
今回は新聞相談事例をもとに、定年延長時の失業保険の扱いについて説明します。
■ 相談内容(要約)
当社は現在「60歳定年・継続雇用制度」を導入しています。
定年を65歳に引き上げる予定ですが、60歳で退職と再雇用の形をとれば、同日得喪はできますか?
■ 結論
原則、できません。
定年を65歳にしたにも関わらず、60歳で“形式だけ退職”として同日得喪(退職と再雇用同日)を行うのは認められません。
- ✅ 定年=退職日であることが必要
- ❌ 60歳時点で「制度上の退職」でなければ不可
つまり、実質的に労働関係が継続している場合は同日得喪はできないということです。
■ なぜなのか?
労働局の取り扱いでは、**同日得喪(同日退職・再雇用)**が認められるのは、
● 制度上の定年退職
● 就業規則に明確な定めがある
● 実態として雇用関係が切れている
場合です。
65歳定年制度に変えたのであれば、60歳時点では制度上の退職ではないため同日得喪として扱われません。
■ 実務でのポイント
| 項目 | 注意点 |
| 定年年齢 | 就業規則に明記することが重要 |
| 同日得喪 | 「制度上の退職日」が条件 |
| 再雇用 | 契約書・条件通知書で明確に |
特に同日得喪を使う場合は、就業規則・退職辞令・雇用契約書の整備が不可欠です。
■ わかりやすい例
✅ 認められるケース
- 就業規則:60歳定年
- 60歳で一度退職
- 新たに再雇用契約を締結
❌ 認められないケース(今回の相談)
- 就業規則を65歳定年へ変更
- 60歳で“形だけ退職”して再雇用
→ 制度上の定年ではないため不可
■ まとめ
● 定年延長すると同日得喪は原則使えない
● 「制度上の退職日」が重要
● 就業規則・再雇用契約の整備が必要
定年制度の見直しは、労働法+雇用保険の知識が不可欠です。
■ 社労士からひとこと
定年延長は会社にとっても従業員にとっても大切な制度。
しかし、雇用保険や社会保険の取扱いを誤ると、
-
失業給付が受けられない
-
手続きが認められない
などのリスクがあります。
就業規則の改訂や、定年後人事制度の見直しをお考えの企業様はお気軽にご相談ください。
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