この記事では、社会保険適用拡大について、事業主がまず確認すべきポイントをわかりやすく整理します。
この記事でわかること
・自社がいつから対象になるか
・パート・アルバイトの加入対象者の確認方法
・会社の社会保険料負担の考え方
・従業員へ説明するときの注意点
・社労士へ相談した方がよいケース
パート・アルバイトの社会保険加入が広がります
パート・アルバイトの方について、健康保険・厚生年金保険に加入する対象が広がっています。
厚生労働省では、「社会保険適用拡大特設サイト」を公開しており、会社が対象になる時期や、従業員が社会保険に加入する要件を確認できるようになっています。
まず確認することは3つです
会社がまず確認すべきことは、次の3つです。
- 自社がいつから対象になるか
- 加入対象になるパート・アルバイトがいるか
- 社会保険料の会社負担がどれくらい増えるか
難しく考えすぎる必要はありません。
最初は、「会社の人数」と「週20時間以上働く人がいるか」を確認することが大切です。
1.自社がいつから対象になるか
社会保険適用拡大は、会社の規模に応じて段階的に広がります。
| 会社の規模 | 対象になる時期 |
| 51人以上 | すでに対象 |
| 36人~50人 | 2027/10から |
| 21人~35人 | 2029/10から |
| 11人~20人 | 2032/10から |
| 10人以下 | 2035/10から |
ここでいう従業員数は、単なる在籍人数ではなく、厚生年金保険の被保険者数をもとに考えます。法人の場合は、法人全体で判断します。
2035/10以降は、企業規模要件が撤廃される方向のため、少人数の会社でも確認が必要になります。
2.加入対象になる人はどんな人か
パート・アルバイトの方が社会保険に加入するかどうかは、主に次の条件で確認します。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 学生ではない
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
※この賃金要件は2026/10に撤廃予定です。
つまり、今後は特に、「週20時間以上働くかどうか」が重要な確認ポイントになります。
3.会社の負担も確認が必要です
社会保険に加入する人が増えると、従業員本人だけでなく、会社にも保険料負担が発生します。
そのため、会社は事前に次の点を確認しておく必要があります。
- 対象者が何人いるか
- 会社負担の保険料がどれくらい増えるか
- 給与計算で正しく控除できるか
- 従業員にどう説明するか
厚生労働省の特設サイトでは、事業主向けに社会保険料の負担額を試算できるツールも用意されています。
従業員への説明も大切です
社会保険に加入すると、給与から健康保険料・厚生年金保険料が控除されます。
そのため、従業員からは、
- 手取りが減るのではないか
- 扶養から外れるのか
- 将来の年金は増えるのか
- 働く時間を減らした方がよいのか
といった質問が出る可能性があります。
会社としては、単に「社会保険に入ってください」と伝えるだけでなく、手取りへの影響と、将来の年金・健康保険のメリットをあわせて説明することが大切です。
会社が今からやること
まずは、次の順番で確認するとわかりやすいです。
- パート・アルバイトの雇用契約書を確認する
- 週20時間以上働く人を確認する
- 対象者の人数を整理する
- 社会保険料の会社負担を試算する
- 従業員への説明方法を考える
- 給与計算や社会保険手続きの準備をする
特に、雇用契約書と実際の勤務時間が違っている場合は注意が必要です。
Q&A
Q1.従業員数50人以下の会社も社会保険適用拡大の対象になりますか。
A.はい。今後、企業規模要件は段階的に縮小されます。36人〜50人は2027/10、21人〜35人は2029/10、11人〜20人は2032/10、10人以下は2035/10から対象となる予定です。
Q2.パート・アルバイトは全員が社会保険に加入するのですか。
A.全員ではありません。週の所定労働時間が20時間以上、学生ではない、2か月を超えて雇用される見込みがあるなど、一定の要件を満たす場合に加入対象となります。
Q3.いわゆる「年収106万円の壁」はどうなりますか。
A.短時間労働者の社会保険加入要件のうち、所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件は、2026/10に撤廃予定とされています。
ただし、社会保険の加入判断では、週の所定労働時間が20時間以上であること、学生ではないこと、2か月を超えて雇用される見込みがあること、会社の規模要件などを確認する必要があります。
Q4.個人事業所も対象になりますか。
A.個人事業所についても、常時5人以上を使用する全業種へ適用対象を拡大する方向が示されています。ただし、2029/10の施行時点で既に存在している事業所は、当分の間、対象外とされています。個別確認が必要です。
Q5.会社は何から準備すればよいですか。
A.まずは、現在の厚生年金保険の被保険者数を確認し、次に週20時間以上勤務するパート・アルバイトを洗い出すことです。そのうえで、保険料負担の試算、従業員説明、資格取得届、給与計算の設定を順番に進めると整理しやすくなります。
チェックリスト
社会保険適用拡大に向けた会社側チェックリスト
- □ 自社の厚生年金保険の被保険者数を確認した
- □ 法人全体で従業員数を確認した
- □ パート・アルバイトの雇用契約書を確認した
- □ 週20時間以上勤務している従業員を洗い出した
- □ 学生かどうかを確認した
- □ 2か月を超えて雇用される見込みを確認した
- □ 社会保険料の会社負担分を試算した
- □ 従業員への説明資料を準備した
- □ 給与計算ソフト・勤怠管理システムの設定を確認した
- □ 被保険者資格取得届の提出準備を確認した
- □ 助成金・支援制度の活用可否を確認した
簡単に言うと
- 対象企業が広がる
- 週20時間以上働くパート・アルバイトは要確認
- 会社の社会保険料負担も増える可能性がある
- 従業員説明と給与計算の準備が必要
まとめ
社会保険適用拡大では、単に制度を知るだけでなく、雇用契約書、勤務時間、給与計算、社会保険料の負担、従業員説明をあわせて確認する必要があります。
特に、週20時間前後で働くパート・アルバイトが多い会社では、加入対象者の判断に迷うケースがあります。
社会保険労務士森事務所では、社会保険適用拡大に関する対象者確認、従業員説明、社会保険手続き、給与計算のご相談に対応しています。
名古屋市を中心に、Zoom・Microsoft Teamsによるオンライン相談も可能です。
社会保険適用拡大への対応で不安がある事業主様は、お気軽にご相談ください。
