· 

【退職時の年休消化で会社が迷うポイント】20日残っていても買い取りできない理由を社労士が実例で解説

退職時の年次有給休暇の消化や買い取り対応に悩む会社担当者と、助言する専門家を表したイラスト

はじめに|退職時の年休消化は会社が一番悩むテーマ

退職が決まった従業員から、

「年休が20日残っています。退職までに消化したいです」

と言われたとき、

 

・引継ぎはどうするのか
・1か月で20日も休まれたら現場が回らない
・買い取った方が本人にとっても良いのではないか

 

多くの会社がここで判断に迷います。


【具体例】よくある現実的なケース

想定ケース

・年次有給休暇残日数:20日
・退職日まで:1か月
・引継ぎ業務あり

会社の率直な本音

・20日すべて消化されると、実質ほぼ出勤しない
・引継ぎ期間が確保できない
・正直、買い取った方が労働者に有利では?

👉 この感覚は間違っていません。


誤解しやすいポイント①

「労働者に有利なら、買い取りしてもよいのでは?」

結論

👉 法定年休は、労働者に有利でも買い取りできません。

理由(制度の前提)

・年次有給休暇は
 →「金銭補償制度」ではない
 →「実際に休ませる制度」

労働基準法第39条が会社に求めているのは、

・お金を払うこと ❌
・休ませること ⭕

です。

そのため、

・結果として労働者が不利に見えるケース
が生じても、

金銭で救済する仕組みにはなっていません。


誤解しやすいポイント②

「退職時は特別だから買い取りOKでは?」

結論

👉 退職時でも原則は変わりません。

・退職時
・本人希望
・会社も同意

これらが揃っても、
法定年休部分の買い取りは不可です。

※例外的に可能なのは
👉 法定日数を超えて付与している年休のみ


誤解しやすいポイント③

「引継ぎが終わらないから年休を認めない」

結論

👉 引継ぎ未了は、年休拒否の理由になりません。

・引継ぎ体制の整備
・業務の属人化防止

は、会社側の管理事項と整理されています。


では、会社はどう対応すべきか(現実的対応)

実務で安全かつ現実的な対応策

① 最終出勤日と退職日を分けて考える

 

・最終出勤日:引継ぎ完了日
・その後:年休消化
・退職日:年休消化後

👉 これが最もトラブルが少ない方法です。


② 年休消化を前提に、引継ぎ計画を早期に立てる

・引継ぎ資料の作成
・マニュアル化
・必要に応じて面談実施


③ 買い取りではなく「退職日の調整」で対応

・退職日を後ろ倒し
・年休消化期間を確保

👉 金銭処理は行わない
👉 法令リスクを回避できる


【社労士の実務的視点】

退職時の年休問題は、

・会社が冷たく対応するとトラブル
・会社が優しすぎると違法

という、非常にバランスが難しい分野です。

特に、

 

「買い取った方が労働者に有利だから」

という善意の判断が、
後から会社側のリスクになることは少なくありません。


まとめ(会社側向け整理)

・法定年休は退職時でも買い取り不可
・労働者に不利に見えるケースがあっても、制度上は許容されている
・引継ぎは年休制限の理由にならない
・退職日と最終出勤日の整理が最大のポイント
・迷ったら早めに専門家へ確認


関連記事

 

・退職時の年休トラブルを避けるためには、日頃の年休運用ルールが前提になります。

 → 【会社のリスクを回避】年休は承認制にできる?法律どおりの安全な運用と実務ポイント

 

・私傷病などで休職が絡むと、出勤率や付与判断が難しくなることがあります。

 → 私傷病休職がある場合の出勤率の計算と年次有給休暇の付与について

 

〒467-0065

名古屋市瑞穂区松園町1-8-102

社会保険労務士森事務所

行政書士森事務所

TEL:052-875-5780

FAX:052-875-5781

業務時間(平日)09:00~17:00 

セキュリティ対策を実施していることを示す認証バッジ(SECURITY ACTION 自己宣言)
精神・発達障害者しごとサポーター養成講座の修了を示す「話しごとサポーター」シンボルマーク