
「遠くの赴任先でがんばる社員に、家族のもとに帰る交通費を補助してあげたい」
そんなやさしい気持ちを持つ会社も多いと思います。
でもちょっと待ってください。
その帰省費用の補助、じつは「給料」として扱われる可能性があるのです。
💡質問
社員が転勤で単身赴任している場合、月に1~2回、自宅へ帰省するための交通費を会社が月4万円まで補助する制度を考えています。
帰宅したときだけ、領収書を出してもらい、その実費を支払う仕組みです。
このような場合、会社が支払うお金は「給料(報酬等)」になるのでしょうか?
✅答え
はい、このケースでは「報酬(給料)」に当たります。
📌理由を解説します
ポイント | 説明 |
🔸健康保険法では | 「労働の対価としてもらうお金は全部“報酬”」とされています。 |
🔸帰宅交通費は私的な支出 | 家に帰るのはプライベートのため。会社の仕事に直接関係ないので、会社が当然に負担すべき費用ではありません。 |
🔸毎月もらえる可能性がある | 交通費を毎月受け取ることになると「継続的な支給」となり、給料と同じように扱われます。 |
🧾年金機構の見解もあります
日本年金機構からも、
「このような交通費補助は会社が本来負担すべき費用ではない」
「だから、これは報酬として扱う必要がある」
という案内が出されています。
💡では、どうすれば“給料扱い”にならないの?
帰宅交通費を福利厚生費として、報酬にしないためには、いくつかの条件があります。
- 業務命令による転勤であること
- 社内の規程(就業規則や旅費規程など)で明確にルール化していること
- 月に○回まで、上限○円などの条件をきちんと決めていること
- すべての単身赴任者に公平に適用されていること
こうしたルールを整えておくことで、報酬ではなく福利厚生費として認められる可能性があります。
📝まとめ
内容 | 今回の帰宅補助 |
仕事のための支出? | ❌ いいえ(私的な移動) |
会社が当然に払う? | ❌ いいえ(業務上必要とは言えない) |
継続的に支給される? | ✅ はい(月ごとに支給) |
結論 | 報酬(給料)として扱われます |
単身赴任者の交通費補助など、社員にやさしい制度を検討されている方へ。
制度の運用や、就業規則・旅費規程の整備などについて、少しでもお力になれましたら幸いです。
ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。