全国健康保険協会(協会けんぽ)から発表された令和5年度の傷病手当金の支給額について、詳しく見ていきましょう。今回のデータから、精神疾患に対する支給額の増加が顕著であることがわかります。
1. 精神疾患の支給額が最も多い
精神疾患による支給件数は5万9826件、総支給額は 125億5449万円 に達し、全体の 42.3% を占めています。これは、傷病手当金の中で最も多く、近年の精神的な問題に対する社会的な支援が必要であることを示しています。
精神疾患の支給額の増加は、働き方の変化や社会的ストレスの増加が影響していると考えられ、今後も継続的な支援が求められます。
2. がんに対する支給額
がんに対する傷病手当金の支給件数は2万3063件、総支給額は 47億8145万円 で、全体の 16.1% を占めます。がんは治療期間が長期化しやすく、傷病手当金の支給が重要な経済的支援となっています。
3. 筋骨格系・結合組織の疾患に対する支給額
筋骨格系・結合組織の疾患、例えば腰痛やヘルニアなどによる支給件数は1万3894件、総支給額は 25億5255万円 で、全体の 8.6% を占めています。これらの疾患は、特に長期的な療養や復職支援が必要なケースが多いことが影響しています。
4. 循環器系の疾患に対する支給額
循環器系の疾患、例えば心臓病や高血圧などによる支給件数は1万1719件、総支給額は 25億3987万円 で、全体の 8.5% を占めています。これらの疾患は、症状が深刻な場合が多く、長期の治療や療養が必要とされることが多いです。
5. その他の疾患に対する支給額
その他の疾患に対しても、推定で3万2363件、総支給額 72億8183万円 が支給されています。感染症や消化器系疾患、外傷など様々な病気が対象となっています。これにより、幅広い傷病に対して支援が行われていることがわかります。
6. 業種別の支給件数
被保険者1000人当たりの支給件数では、公務が最も高く、15.19件でした。以下は、業種別の支給件数の状況です。
- 公務: 15.19件(最も高い)
- 運輸・郵便業: 9.41件
- 医療・福祉: 9.04件
- サービス業: 7.37件
- 不動産・物品賃貸業: 3.77件(最も低い)
まとめ
令和5年度の傷病手当金の総支給額は 297億1010万円 にのぼり、特に精神疾患に対する支給が顕著に増加しています。これは、社会の変化や働き方の多様化に伴う精神的な問題の増加を反映していると考えられます。今後も、傷病手当金制度を通じた支援が重要な役割を果たしていくでしょう。
今回のデータを通じて、傷病手当金の現状について理解を深めていただければ幸いです。これからも、より多くの方々が適切な支援を受けられるよう、情報発信を続けてまいります。